子供も大人も夢中になる絵本について
①しろくまちゃんのほっとけーき
作: わかやま けん
出版社: こぐま社
発行日: 1972年10月
誕生から50年経つロングセラー絵本『しろくまちゃんのほっとけーき』
ホットケーキ♪♪♪いつの時代になっても、みんな大好き!子供たちを惹きつけてやまないおやつではないでしょうか?私も、ふっと食べたくなる時があります。最近では、大人向けのおしゃれなホットケーキ(パンケーキ)カフェも増えているようですね。
誰でもみんなが好きなのは、もちろん、おいしい!から、だけど…
それだけではないことが、この絵本には詰まっていると思います。
あの目にも鮮やかなオレンジ色のページいっぱいに描かれた、出来上がっていくホットケーキの様子!!
いつ、何度読んでも、はやく早くあのページをめくりたくて、わくわくした記憶があります。
卵を割って、牛乳を入れて…ホットケーキが完成していく様子を見るわくわく♪
ぽたあんどろどろぴちぴちぴちぷつぷつ…(本文より抜粋)
やけたかな?まあだまだ…と、何回つぶやいたでしょう。
そして、ようやく、『はい できあがり』とお皿のうえに…
きっと、みんな誰かと一緒に作っていますよね!!(心と頭の中で♪)
描かれた数々の名場面は、子供たちの心に深く印象に残り、大人になっても、そのわくわくの気持ちは、ページを開いたとたんに蘇るでしょう!
②ぐりとぐら
作:中川 李枝子
絵:大村 百合子
出版社:福音館書店
発行日:1967年1月
言わずと知れた青と赤のとんがり帽子とつなぎがトレードマークのぐりとぐらは、野ねずみの双子です。仲良しのふたりが、この世で一番好きなのは、お料理すること、食べること。
今日も大きなかごを持って、森の奥へ出かけます。
「ぼくらのなまえはぐりとぐら
このよでいちばんすきなのは
おりょうりすることたべること
ぐりぐらぐりぐら」(本文より抜粋)
子どもの頃に読んでから何十年経っても、ママやパパの記憶に残るほどの名場面です。
この絵本は、私自身も保育園に通っていた頃に夢中になった大事な思い入れの深い絵本です。気分はまるで、ぐりとぐらの友達!
ページをめくる度に、うわぁ♪♪と心が躍ったことを今でもはっきり覚えています。
カステラの焼けていく美味しそうな匂い、フライパンの蓋を取った時のフワフワなカステラの大きさにもびっくり!
楽しそうな絵からは、ぐりとぐら、そして仲間たちの声も聞こえてきそう♪
森の動物たちと一緒になって、もぐもぐ食べた(気がした!)のは、
私だけではなかったのではないでしょうか?
『ぐりとぐら』には、楽しいシリーズがいっぱい!今日はどれを読もうかな?
③からすのパンやさん
作・絵:かこ さとし
発行日:1973年9月
出版社:偕成社
私自身のお気に入りは、何と言ってもあの見開きいっぱい!にずらりと並んだ
たくさんのパンたちが描いてあるページです。
へぇ~こんな変わったパンも!このパンはどんな味がするんだろう?と、いつ開いてもワクワクでした♪
時には、自分もパンやさんになって『いらっしゃいませ~♪』と言ってみたり…。
あの4羽の子どもたちは、黒ではなくて、それぞれ違った色をしていたことが、当時はとても不思議でした。もしかしたら、それが個々の特性を表していたのかな。【それぞれが違って、それで良いんだよ】というようなメッセージを、自身が大人になってから読み返した時にふと感じたことでした。
このお話は、働く家族の姿を、ありのまま描いていることも大きな魅力のひとつだと思います。子育てをしながら、仕事(パンや)をしていくのは大変なことですが、家族はいつだって明るく、お互いを思い合っています。
シンプルなようで奥深い家族の物語は、あの時読んでいた子供が親になった今でも、褪せることのない魅力で溢れる1冊でしょう。
④どうぞのいす
作: 香山 美子
絵: 柿本 幸造
出版社: ひさかたチャイルド
発行日: 1981年11月
うさぎさんが小さないすをつくり、どうぞのいすと立てふだを添える。
最初に登場するろばさんはお昼寝をしてしまい、そこからくまさん→きつねさん→りすさん→と続き…あれれれえ?と、まさか!のくすっと笑える結末へ♬
『どうぞならばえんりょなく』そして、『あとのひとにおきのどく』。
動物たちが次々と登場して、美味しそうな食べ物が取り換えっこされていくテンポの良いストーリーです。
誰かのことを考えられる、優しさの繰り返しが本当に心地良くて素敵です。
温かくて柔らかい絵と、繰り広げられるやりとりが、大人の心にもじんわり沁みこんできます。子供が成長し、年齢を重ねた時にふと読み返したいと、自分自身も感じる、ずっと大切にしたい絵本の1冊です。
⑤いつもいっしょに
作:こんの ひとみ
絵:いもと ようこ
出版社:金の星社
発行日:2008年2月
『そばにきみがいるだけで、ぼくはしあわせ・・・』
大切な人と一緒にいられる身近な幸せに気付かせてくれると同時に、感謝の気持ちがわいてくるお話です。
心がほんわか温まる絵にも優しい気持ちにさせられますが、読んでいる大人には、ぐっとくる心理が描かれているような気がします。
読み終えた時、子供をぎゅっと抱きしめたくなる、そんな気持ちになるお話です。
子供対象だと思いがちな数々の絵本ですが、実は大人にとってもメッセージ性の高いものが多くあると思います。
お子様に読み聞かせをしながら、自分の心にも響いてくる絵本の1冊ではないでしょうか。
※いもと ようこさんは、『ねこのえほん』(講談社)と、『そばのはなさいたひ』(佼成出版社)で、2年連続ボローニャ国際児童図書展エルバ賞受賞。『いもとようこうたの絵本Ⅰ』(講談社)では、同グラフィック賞受賞。